日本陽電子科学会会報「陽電子科学」

■第7号(2016年)  [PDFファイル(5.1 MB)

  • 巻頭言
  • 入門講座
    • 陽電子とポジトロニウムの基本的性質と応用
      兵頭 俊夫(KEK)  [PDFファイル(1.5 MB)
    • 全ての素粒子は反粒子をもつが,中でも陽電子は初めて見いだされた反粒子である.発見されて80余年になるが,現在では反粒子の中で最も身近でかつ最も広く応用されている.本稿では,陽電子およびポジトロニウム(positronium, Ps,陽電子と電子がクーロン力で結合した水素様の「原子」)の基礎的性質を述べ,それを利用する研究について,実験手段を中心に簡単に紹介する.

    • Production and manipulation of slow positron beams, Part II
      Brian E. O'Rourke(産総研)  [PDFファイル(1.7 MB)
    • Following on from the overview of slow positron production methods in Part 1, this Part 2 provides an overview of the methods used to transport and manipulate slow positron beams. A discussion of magnetic and electrostatic transport systems is followed by a short treatment of beam focusing and brightness enhancement. Finally we review some methods for bunching and stretching of pulsed slow-positron beams.

    • ポジトロニウムの散乱実験
      長嶋 泰之(東京理科大学)  [PDFファイル(1.0 MB)
    • ポジトロニウムと気体分子や固体表面,光子との散乱現象の研究は古くから行われている.しかしながらその発展は,ポジトロニウムの制御が容易ではないため順風満帆ではなかった.それが故に,様々な巧妙なアイデアが多数考案され,特色のある展開をしてきた.本稿ではその歴史を紐解いて簡単にまとめる.

  • 最近の研究から
    • 原子・分子の陽電子束縛機構と対消滅機構解明のための高精度第一原理計算
      立川 仁典,北 幸海,小山田 隆行(横浜市立大)  [PDFファイル(1.1 MB)
    • 我々は分子軌道法および量子モンテカルロ法といった高精度の第一原理計算手法を多成分系に理論拡張・実装し,さらには分子振動の効果を考慮することで,陽電子束縛化合物における陽電子親和力や対消滅率の精密計算を実現し,最新の実験結果と良い一致を見出した.幾つかの中性分子への陽電子束縛状態を系統的に計算した結果,陽電子軌道は電子軌道よりも空間的に非局在化し,また陽電子親和力と永久双極子モーメントおよび双極子分極率の間に強い相関がみられた.

    • 電子消滅分光法を用いた金属の照射損傷
      佐藤 紘一(鹿児島大学)   [PDFファイル(1.3 MB)
    • 金属合金の照射損傷を陽電子消滅分光法を用いて調べた.中性子照射した純Ni及びNi-Sn二元系合金では,Snの照射欠陥の成長過程におよぼす影響を調べ,損傷初期において,オーバーサイズ溶質原子Snの添加量に応じて,空孔型欠陥の成長過程が異なることを明らかにした.また,核破砕中性子照射した低放射化フェライト/マルテンサイト鋼に形成するヘリウムバブルの成長過程については,照射量の増加や焼鈍温度の上昇にともない,ヘリウムバブル中のヘリウム含有量が変化することをとらえることができた.

    • スピン軌道相互作用によるポジトロニウムスピン転換反応
      〜「Xe問題」解決への道のりと新しい原子散乱研究への糸口〜
      澁谷 憲悟,斎藤 晴雄(東大)   [PDFファイル(1.3 MB)
    • ポジトロニウム(Ps)がXeのようなhigh-Z原子に散乱される際に,スピン軌道相互作用によりPsのスピン状態が変化するスピン転換反応が起こり得る.この反応は,2006年に,ようやくピックオフ消滅との見分けがつき,存在が確認された.また,Xeガス中でのPs形成が非常に少なくみえる現象(Xe問題)の原因とも考えられている.この反応には,s波散乱では禁制という他の散乱にはみられない特徴があり,筆者らはその物理を活かしてPs自身やPsと他の物質の相互作用を理解する研究に取り組んでいる.本稿では,「Xe問題」の過去・現在・未来を述べつつ,筆者らの最近の研究内容を紹介する.

  • 研究室紹介
    • 京都大学大学院工学研究科 原子核工学専攻量子ビーム科学研究分野
      土田 秀次(京大)  [PDFファイル(806 kB)

  • ご案内  [PDFファイル(733 kB)
    • 京都大学原子炉実験所専門研究会「陽電子科学とその理工学への応用」
    • 12th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry (PPC12)
    • Positron Studies of Defects 2017 (PSD17)
    • 18th International Conference on Rositron Annihikation (ICPA18)
    • 15th International Workshop on Slow Positron Beam Techniques and Applications (SLOPOS15)

  • 共同利用施設から  [PDFファイル(748 kB)
    • 産業技術総合研究所 高強度低速陽電子ビームライン
    • KEK 物質構造科学研究所フォトンファクトリー低速陽電子実験施設
    • 京都大学原子炉実験所高強度低速陽電子ビームラインの現状

  • 学会印象記  [PDFファイル1.1 MB)
    • 14th International Workshop on Slow Positron Beam Techniques & Applicationsの報告と印象記

  • 会員から  [PDFファイル(783 kB)
    • 唐 政(Zheng Tang)教授を偲んで

  • その他  [PDFファイル(772 kB)
    • 事務局から
    • 日本陽電子科学会 会則
    • 日本陽電子科学会会報「陽電子科学」投稿規程および投稿の手引き
    • 編集後記

第7号表紙