日本陽電子科学会会報「陽電子科学」

■第4号(2015年)  [PDFファイル(6.9 MB)

  • 巻頭言
    • 日本陽電子科学会の過去・現在・将来
      長嶋 泰之(日本陽電子科学会 副会長)  [PDFファイル(735 kB)

  • 入門講座
    • 陽電子消滅寿命・運動量相関測定
      平出 哲也(原子力機構)  [PDFファイル(1.4 MB)
    • 陽電子消滅時間-運動量相関(Age-MOmentum Correlation; AMOC)測定は,陽電子の試料への入射時刻,消滅時刻,消滅γ線のエネルギーの3つの情報を同時計測して行われている.この測定手法,解析手法,AMOCの特徴を生かした研究例などについて述べる.

    • 放射性同位体を用いたスピン偏極陽電子ビーム
      河裾 厚男(原子力機構)  [PDFファイル(2.0 MB)
    • 本稿では,放射性同位体から放出される陽電子のスピン偏極性,それによるスピン偏極陽電子ビームの開発,スピン偏極陽電子消滅法の基礎,及び,金属表面におけるスピン偏極ポジトロニウム消滅による電流誘起スピン蓄積効果の研究について述べる.

    • 陽電子寿命の理論計算
      水野 正隆(阪大)  [PDFファイル(1.6 MB)
    • 陽電子寿命値は陽電子の波動関数を求め,得られた電子密度と陽電子密度の積を空間的に積分することで計算できるが,クーロン相互作用による電子と陽電子の接触密度の増大の効果を取り入れるエンハンスメント・ファクターの取り扱いが重要となる.半導体や絶縁体では金属と比較すると接触密度の増大の効果が低減するため,その補正を取り入れたエンハンスメント・ファクターが提案されている.用いる電子密度をどのような方法で求めるか,また電子密度への陽電子の影響を取り入れるかどうかで,いくつかの計算方法が存在する.ここでは,それぞれの方法について具体的な計算例を含めて解説する.

  • 最近の研究から
    • ポジトロニウムの超微細構造の新しい方法による精密測定
      石田 明(東大)  [PDFファイル(1.4 MB)
    • ポジトロニウム,Psの基底状態の超微細構造,の理論値と過去の測定値の間には,3.9 σの有意な乖離があった.そこで,Psの熱化を考慮した新しい実験を行った.その結果, = 203.394 2 ± 0.001 6 (統計) ± 0.001 3 (系統) GHzという理論値と矛盾のない結果が得られた.この結果は,過去の実験値とは2.6 σずれており,さらにPsは形成直後に熱化すると仮定した解析では10±2 ppmもずれることがわかった.この結果は,これまでの実験と理論の乖離の原因がPsの熱化を考慮しなかったことにあることを示唆する.

    • Positron annihilation lifetime spectroscopy as a tool for further insights into the transport of water and solutes during reverse osmosis
      Takahiro Fujioka, Long D. Nghiem(The University of Wollongong)
         [PDFファイル(661 kB)
    • Reverse osmosis (RO) filtration is an important separation process for water treatment and many industrial applications. Despite many decades of research and development efforts, solute transport through an RO membrane is still not fully understood. This article provides an insight into transport of small and uncharged solutes in RO membranes, with a particular focus on free-volume hole-size of the membrane active skin layer determined by positron annihilation lifetime spectroscopy (PALS). Free-volume hole-size is one of the most important membrane properties governing solute rejection. In fact, the rejection of boric acid (which is a small and uncharged solute) by RO membranes decreases with increasing free-volume hole-radius. In addition to free-volume hole-size, other properties of the active skin layer may also influence the rejection of uncharged small solutes. Thus, future development of PALS or other analytical techniques to characterise the free-volume hole-shape, hole-size distribution, and free-volume fraction of the active skin layer can provide an unprecedented level of insight into the separation of small and uncharged solutes by RO membranes.

    • カスプトラップを用いた反水素研究
      永田 祐吾(理研),黒田 直史(東大)  [PDFファイル(2.1 MB)
    • 本稿では,ASACUSAにおいてCPT対称性の検証を目指して進められている,カスプトラップを用いた反水素原子の基底状態超微細構造分光実験について紹介する.
      カスプトラップは超伝導アンチヘルムホルツコイルと多重リング電極で構成され,偏極した反水素ビームを生成することが予想されている.最近,ASACUSA実験グループは反水素原子を合成し,念願の反水素ビームの生成に成功した.この成果は反水素原子のインフライトの分光への道を拓くものである.

  • 特別寄稿
  • 研究室紹介
    • 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター
      スピン偏極陽電子ビーム研究グループ
      前川 雅樹(原子力機構)  [PDFファイル(757 kB)

  • 関連集会の案内  [PDFファイル(755 kB)
    • 第52回アイソトープ・放射線研究発表会(共催)
    • 第8回陽電子科学研究交流会
    • 京都大学原子炉実験所専門研究会「陽電子科学とその理工学への応用」
    • 17th International Conference on Positron Annihilation (ICPA17)
    • 14th International Workshop on Slow Positron Beam Techniques and Applications (SLOPOS14) (共催)
    • Positron Studies of Defects 2017 (PSD17)
    • 12th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry (PPC12)
    • 第3回物構研サイエンスフェスタ(協賛)

  • 共同利用施設のご案内  [PDFファイル(763 kB)
    • KEK 物質構造科学研究所フォトンファクトリー低速陽電子実験施設
    • 産総研 高強度低速陽電子ビームライン
    • 京都大学原子炉実験所における高強度陽電子ビームラインの現状

  • 学会印象記  [PDFファイル(1.0 MB)
    • 第7回陽電子科学研究交流会の報告と印象記
    • The 11th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry (PPC11) の印象記
    • The International Workshop on Positron Studies of Defects 2014 (PSD-14) の報告と印象記

  • その他  [PDFファイル(768 kB)
    • 事務局から
    • 日本陽電子科学会 会則
    • 日本陽電子科学会会報「陽電子科学」投稿規程および投稿の手引き
    • 編集後記

第4号表紙